フィリピンでは昨年3月から、全ての学校で対面授業が禁止されたまま、再開の目途も絶っていません。そんな中、子どもたちはどんな生活を送っているのでしょうか?
オンライン授業を受けられるのは、たったの14%!?
現在、対面授業が禁止となっている、フィリピンの学校では、以下の3つのパターンで授業が行われています。
①オンライン授業・・・オンラインによる授業
②モジュラー授業・・・プリントが配布による授業
③ブレンデット授業・・・①と②の組み合わせ
しかし、小さな島や山間部、都市部から離れた地方では、インターネットが整備されていません。さらに、貧困層にはインターネットに接続するためのガジェット(パソコン、タブレット、スマートフォン)がありません。
その為、多くの公立校が、②モジュラー授業しか行えない現実があります。
▶参照元「Inquirer.net」
減少する入学者数
フィリピンではK-12という義務教育システムがあります。
▶K-12について詳細はこちらをご覧ください。
「フィリピン新教育システムの光と闇!!」
義務教育と言っても日本のものとは違い、毎年「エンロールメント」と呼ばれる、入学手続きが必要で、これをしなければ入学が許可されません。
さらに、貧困や親の都合で、子どもを入学させなかったからと言って、親が法的に罰せられることはありません。
ある調査によると、今年度入学すべき 2,732,467人が、入学をせずに①②③いずれの授業も受けずに過ごしています。これは、昨年度に比べて10%の学習者減少を意味しています。この統計に、対面授業の禁止が影響していることは間違いありません。
▶参照元「ANALYSIS」
私立学校の学費が払えない!?
フィリピンでは、コロナ以前は全体の10%前後の子どもたちが私立の学校に通っていました。しかし、今学期は2,080,233人が入学手続きを行わず、公立校に転校、もしくは未入学となっています。これは前年からすると48%の減少です。
特に私立の幼稚園への入学は、66%減少しています。現在フィリピンでは、10歳未満の子どもたちの外出が禁止されています。そんな中、幼少期に必要な社会性、コミュニケーション、基礎学習に大きな影響が出ることが懸念されています。
▶参照元「DepEd」
子どもたちのメンタルヘルス
このような状況の中で、現在子どもたちの鬱や自殺が社会問題になっています。
子どもたちは、学校から出される大量の課題や、毎日のオンライン授業で大きなプレッシャーを抱えています。さらに、以前のように友達同士でたわいもない会話をする機会がなくなってしまいました。
外出も制限され、自宅で多くの時間を過ごす中で、家族との衝突も増えています。特に、保護者がコロナにより失業していたり、収入が減少している家庭では、保護者のストレスが、子どもたちに大きな影響を与えています。
実際に、2020年10月だけでも13名の学生がオンライン授業などのプレッシャーを原因に自殺をしています。さらに、教員の自殺も報告されています。
▶参照元「Inquirer.net」
さらに1日の大半を自宅で過ごす子どもたちにとって、インターネットやゲームの依存も大きな社会問題となっています。
貧富の差の拡大
フィリピンは、コロナ以前より貧富の差が非常に激しい国です。近年、経済成長が進み、少しずつ「中間層」が増加していましたが、このコロナにより、また貧富の差が大きくなっています。
▶参照元「経済産業省」
それは、教育面にも顕著に表れており「お金がなければ勉強ができない」という、悲しい現実があります。対面授業の禁止が長引けば長引くほど、貧富の差が子どもたちの学力の差に影響していきます。
感染予防も大切ですが、未来を担う子どもたちに、平等に「学ぶ権利」が与えられる日が、1日も早く訪れることを願ってやみません。
コロナ禍でのDAREDEMO HEROの取り組みは、以下をご覧ください。
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